異世界食堂2
第10話「テリヤキバーガー/チョコレートパフェ」
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異世界食堂の客同士の交流が増えてゆく・・・
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タツゴロウと新米冒険者
「こんなに強いなんて、聞いてないよお!うわああ!」
「ちぇいっっ!」
「無事か?」
「助けてくださり、ありがとうございます」
「気にするな。困ってる者は助けるのが俺の信条だ。・・・ん? おまえたちは、ねこやに来ていた子供たちじゃないか?」
「え?」
「いまから行く所だ。行くか?」
タツゴロウが助けた新米冒険者。彼らはハンバーガー好きの少年3人組でした。
タツゴロウは毎回でているからわかったけど、この3人組はすっかり忘れていたな。毎回ハンバーガーとコーラを頼む少年三人組だったかw
この作品はこうやって異世界側での交流が増えてゆくと面白くなるんだよね。
テリヤキバーガー
「冷めないうちに頂くとしよう」
「「「・・・・うめー!」
「では、俺も・・・うむ、美味い!普段はライスばかりだが、たまにはパンもいい」
(孫がいればこんな感じだったのだろうか。またどこかで出会ったら、連れてきてやるか)
タツゴロウは毎回照り焼きチキンと清酒を注文するけど、今回は子供たちに合わせてテリヤキバーガーを注文。思った以上に美味しいのでんっくりし、さらにライスを合わせたライスバーガーを食べてライスと照り焼きの相性のよさを再確認したようです。さらに、新米冒険者となった子供たちをみて、孫を見ているような感じになったようですw
タツゴロウってもう孫がいるような歳なのか?(^ー^;A てっきり30代くらいかと思ったら、もう50代くらいなのかね?
牛や豚じゃなくてチキン好きだから、やはり若者ではないんだろうね(笑 年取ると、牛と豚の脂は結構キツイ時があるからねえ。まあ、ブランド牛の美味いやつならむしろまだ美味く感じるけど、普通レベルの肉だと脂はもうキツイお年頃だからなw
魔王様の悩み
(先代の魔王、私の母アルティーナは、50年ほど前、先代の皇帝ビルヘイム陛下に忠誠を誓い、帝国に仕える臣下に降った。帝国の一部に領土をもらい、片身の狭く生きて居た魔族に居場所を作った偉大な方だった。・・・・それに比べて私は・・・こんな私が魔王と呼ばれていていいのでしょうか?)
この世界の魔王様はなろう作品によくある絶大な力を持っていたり肥大した欲望を抱いていたりするようなタイプではなく、普通の女の子っぽい感じですね。先代は相当な実力者だったけど、あえて帝国に降ることで人族との講和を計ったんでしょうね。だとすると、相当な傑物だったんだろうねえ。その娘が偉大な母にコンプレックスを抱くってのはよくある話だよな。魔王でなければw
部屋に異世界扉
「これは一体・・・危険なものでしたら、それ相応の対応をしなければならないですね・・・え? まるで酒場のような・・・あれ? あそこにいるのはライオネル?」
「ラスティーナ様!」
「ライオネル。あの、ここは?」
「異世界食堂です」
「異世界!?」
「美味いもんが食えるんで、なんか食ってくといいですよ」
「もしかして、ラスティーナ様ですか?」
「アーデルハイド殿下!? ご病気で療養されていると聞きましたが?」
「おじいさまのお導きですわ。よろしければ、ご一緒しませんか?」
「では、是非」
自室の真ん中に異世界扉があり、開いてみたらそこには顔見知りのライオネルやアーデルハイドが。
自分の部屋の真ん中にいきなり異世界扉があるとびびるわな。開けようとも思わないけど、やはりそこは魔族だからキモが座ってるのかね?
しかし、今まで現れなかったのに、現在進行形でいろいろな場所に現れるのか。既存の扉がなくなるって話は聞いたことないから、日に日に増幅してるのかね?(^ー^;A そのうち誰でも来れるようになっちまうのでは?
モカチョコレートパフェとラスティーナの悩み
「まあ、美味しそう。先にパフェを食べましょう」
「はい」
「美味しい!」
(随分黒くて茶色い。焦げてるんじゃ? でも、アーデルハイド様は美味しそうに頂いているし・・・)
「ラスティーナ様もどうぞ」
「では・・・まあ、美味しい!」
「最近悩んでいるのです。私がこのまま魔王でいいのかと。もっと実力のある別の魔族に地位を明け渡すべきではないかと」
「あら、そうですか? 以前、お父様が、ラスティーナ様が王位を継がれたことを心強く思うとおっしゃってましたよ」
「皇帝陛下が?」
「ラスティーナ様が魔王になられてから、税収や人口が増えたと聞いております。外交もお上手だとか」
「私は余りに弱くて」
「弱いと何か問題があるのでしょうか? 私は皇女ですが剣どころか短剣も扱えませんし、お父様も剣はたしなみ程度にしか扱えません。上に立つ者が、必ずしも強くあらねばならないわけではないと思うのです。ラスティーナさまは、ラスティーナ様らしい魔王になればよいのではないでしょうか?」
「わたしらしい・・・・ここに来てよかった」
フルーツの甘さが苦手というラスティーナには、アーデルハイドの奨めでモカチョコパフェを注文。これはアーデルハイドんはドンピシャだったようですw
魔王だから甘い物が苦手ってわけじゃないんだろうけど、基本的に余り甘い物はだめっぽいですね。フルーツがあまり好きではないって珍しいな。魔族だと甘党だと何が好きになるんだろ? 蜂蜜とかか?
そして自分が魔王に相応しくないのではという悩みをアーデルハイドに打ち明けると、強さがだけが王になる資質ではないと諭され、自分らしくあろうと翻然と悟ったようです。
だけど、人族と違って魔族ってのは、力が全てとかじゃないのかね? まあ、世襲制になってる時点で力こそ全てってのがヒエラルキーに組み込まれてはいないんだろうけど、そうなると強さは全然必要ないよな。内政能力は優れてるんだから、ここで魔王を越える何か悪王が倦まれて大陸を蹂躙しない限り大丈夫だろうねw
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この世界の魔王がこんな感じなら、大戦争みたいなものは起こりそうにないですね。だけど、帝国に王国に魔王の国に、砂漠の国と、ひとつの大陸にこれだけ違う国がありながら、中世ヨーロッパの文明レベルで争いが起きないってのは奇跡に近いなw
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